春一番に咲く梅の花

 梅の花は葉に先だって香りの良い五弁の花を咲かせてくれます。春を待つウキウキした気持ちを湧き立たせてくれるだけでなく、その実は食用にもなり、薬用にもなり、染料にもなり、木は器にもなります。

 平安時代以前は、花といえば梅。「万葉集」には梅を謳った歌は116首、桜はたった41首しかありません。

 ところが平安時代の初期に編まれた「古今和歌集」には、梅が22首、桜が75首。梅と桜が入れ替わります。

 「万葉集」梅の歌

梅の花 折りてかざせる諸人は 今日の間は楽しくあるべし(神司荒氏稲布・かむづかさこうしのいなしき)

 「古今和歌集」桜の歌

世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし(在原業平)