能や絵画に登場する筆頭は菊

 日本人の好きな花は、上代は梅、中世は桜と言われています。でも、本当は菊がダントツ。

 能に登場する「菊慈道」は中国の仙童。美少年で王様に愛されますが、王の枕をまたいだ罪で山奥に幽閉されました。でも、菊の花に結ぶ露を飲んで不老不死になったという故事を題材にしています。

 菊の意匠は絵や着物、食器などにたくさん使われています。蘭、梅、竹と共に四君子と呼ばれ、文人墨客に愛されています。

 特に、森田こう(日偏に廣)平の描く「菊慈童」は、さすがに王に愛された愛らしさが描かれています。