福を招いて邪気を払う豆と鰯

——節分の前身は宮中の追儺——

●文字通り難を払う儀式
 節分の前身は、宮中で行われていた追儺という行事。1年の終わりに難を逃れるために行っていました。現在、立春の前の日に行うようになったのは、昔は立春と新年が重なっていたため。1年の終わりに難を払って新しい年を迎える行事と、冬から春へ季節を分ける節分の行事が融合し、鬼を払う行事となって現在まで伝わっています。
 年に4回ある節分。現在は立春の前だけに難を払う行事になりました。節分は季節と季節を分ける隙間であり、邪気や悪霊が忍び込みやすい瞬間。季節の循環を滞りなく超えることが自然と共に暮らす人々の最大の関心事でした。特に冬から収穫の春に向かう節分は、邪気追放が重大事。門口や軒下に棘が侵入者を刺す柊。ガラガラと音を立てて侵入が発覚してしまう豆殻。臭いのきつい鰯の頭などを刺して邪気悪霊を追い払おうとしました。

●福を招く豆
 節分行事の代表は豆撒き。節分の夜には豆を炒り、枡に入れて神棚に供えた後で、一家の主人が「鬼は外、福は内」と唱えながら出入口や各部屋に撒いて邪気を払います。その後、家族は年齢の数だけ豆を食べ、無病息災を祈りました。
 一方では鰯と豆殻で邪気を払い、一方では福豆を食べて無病息災を願う。邪気払いと福寄せはいつもセットで行われるのが常でした。

●大豆と鰯を食べましょう
 当デイサービスでは、炒り大豆では固くて利用者様が食べられないので、大豆料理と鰯料理で難を払い、福を寄せましょう。
・大豆の大舟煮
 大豆がアワビを柔らかくし、アワビのダシが大豆に染み込み、大舟煮は鬼もうらやむ典型的な日本の伝統料理です。
・鰯の生姜煮
 小鰯を焼いてから煮ると煮崩れしません。そして生姜が鬼も嫌う生臭さを消してくれます。鬼退治として柊の葉を添えても節分料理らしいですね。