日本全国、紅葉真っ盛り
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●秋を司るのは龍田姫
 桜の季節も心を惑わせますが、秋の紅葉の季節も日本中が沸き立ちます。
「雲の上に 鳴きつる雁の 寒きなへ 萩の下葉は もみちぬるかも」(万葉集)
「おく山に 紅葉ふみ分け 鳴く鹿の こえきく時そ 秋は悲しき」(古今集)
 万葉の時代から現代にいたるまで、紅葉は創作意欲を刺激し続けてきました。芽吹きの春もウキウキしますが、命が終息していく秋の無常観をエネルギーにしてしまう日本人の感性には独特のものがあります。
 春を司るのは佐保姫、秋を司るのは龍田姫。龍田姫は奈良の生駒にある龍田山の祭神です。

●染色・織物を司る龍田姫
 五行説で西は秋に当たるところから、平城京から見て西にある龍田山の祭神を秋を司る神としました。
「ちはやぶる 神代もきかず 龍田川 唐紅に 水くくるとは」在原の業平
 龍田川に紅葉が降り落ちて括り染めするとは、神代にも聞かなかったほどの美しさだと感動した歌です。
この歌のように、紅葉の季節は染色や織物を連想し、龍田姫は染色や織物を司る神ともされていました。

●紅葉は「もみじする」こと
 紅葉は、本来は「もみじす」という動詞でつかわれていました。木々が色づくことが紅葉。中でも一番美しく紅葉する楓を、後世では紅葉の象徴として「もみじ」と呼びならわしました。
 デイサービス「かえで」は、まだ紅葉しない緑の若い葉。若々しい気持ちで頑張ろうという意味を籠めて名付けました。