いよいよクリスマス
——生命の息吹が始まる冬至—

●キリストのお生まれになった日は?
 キリストの誕生物語は新約聖書のマタイによる福音書やルカによる福音書などに見られますが、実は、キリストの生まれた日にちはどこにも書いてありません。12月25日が選ばれたのは、ヨーロッパでは冬至が1年の変わり目で、新しい生活と活動を準備する時という意味が元になっていると考えられています。
 ローマ人が冬至に行ったお祭りが農神サトゥルナリアと呼ばれ、それがキリスト教徒に受け継がれ、北ヨーロッパではクリスマス、南方ではカーニバルになったのだそうです。太陽が南回帰線に至るのが冬至。これから北半球に向かうこの日、次第に陽が長くなるこの日、生命の息吹を感じたのは日本もヨーロッパも同じだったのです。

●イエスは“神は救い”の意味
 イエスはナザレ村の大工ヨセフの婚約者である処女マリアから生まれました。マリアは精霊によって身ごもったとの告知を神の使いから受け、やがて月満ちて男の子を生みます。2人は神の命に従ってその子をイエスと名付けます。それは“神は救い”という意味でした。また、キリストとは“油注がれた者”、つまり救いを意味しています。

●クリスマスは子供たちのお祭り?
 クリスマスは日本で最もポピュラーなイベント。イブにはお父さんが子供たちへのプレゼントとクリスマスケーキを買って我が家へ急ぎます。宗教と関係が薄い分だけ、それは子供たちの楽しみとなったのでしょう。そこで、日本ではクリスマスグッズを探すと、どうしても子供向けのかわいらしい造形になりますね。
 また、クリスマスをお祭りのように楽しむのがアメリカ。ロックフェラーセンターの巨大なクリスマスツリーはあまりにも有名で、その点灯の瞬間は日本のテレビでも放映されるほどです。

●多彩な日本の習慣
 25日にはキリスト教でクリスマスを祝い、31日には仏教の除夜の鐘で煩悩を払い、元旦には神道で初詣でをする。たった1週間の間に3つの宗教を取り入れるのは、他の国では考えられない日本人特有の“和する心”によるものでしょうか。