お菓子で福をよせる
——6月16日は和菓子の日—

●嘉詳の日
 旧暦の6月16日には“嘉詳(かしょう)”という行事がありました。嘉詳年間(848~851)に始まり、神様に16個のお菓子と餅を供えて厄除けと福寄せを祈願したと言われています。室町時代の朝廷では、饅頭などが贈答されていたとも言われます。
 さらに時代が下ると、神事に加えて武力の上達を願う行事に拡大。宮中や武家では、この日、短い弓矢で的を射る試合を行い、負けた人は当時のお金、嘉定通宝(かじょうつうほう)16枚で食物を賄って勝者に供するということになっていました。“嘉(か)”と“通(つう)”が“勝つ”に通じて武家に喜ばれていたのでしょう。

●江戸時代には将軍がお菓子をふるまう
 江戸時代には、幕府の年中行事となりました。江戸城の大広間に2万個のお菓子を並べ、将軍から大名や旗本などにお菓子が振舞われました。徳川家康、二代将軍の秀忠までは将軍自らお菓子を与えたので、数日、肩が痛かったと伝えられています。これらの行事は、井原西鶴の『諸艶大鑑(しょえんおおかがみ)』に絵入りで紹介されています。
 
●昭和のお菓子の日
 昭和54年、全国和菓子協会はこの日を和菓子の日としています。
 和菓子は季節感をさまざまな製法で表現していますね。バターやクリームをたっぷり使った洋菓子より、自然の産物を使った和菓子のほうが栄養価にすぐれていると言われています。一説には、小豆は糖分の吸収を抑える効果もあるとか。
 その美しさで海外でも人気があるだけでなく、洋菓子よりカロリーが低い和菓子を食べたほうが良さそう。
 6月には和菓子の歴史を思いながら、おやつを楽しんではいかが?