親戚縁者が集う盆
——山梨の盆は月遅れ—

●今年は親戚縁者が集うのでしょうか
 コロナがますます拡大しているこの頃。地方の盆は月遅れが多いので、東京から地方へと人の流れが活発になるはずですが、今年はどうなんでしょうか。“感染対策を万全に”といいながら、飛沫感染で広がるコロナをシャットアウトするのは困難に思われます。盆明けの感染者数の発表を不安を抱えながら待つとしましょう。

●精霊は、13日の夜にお帰りになります
 まずは、座敷に盆棚を設け、仏壇の位牌を並べ、季節の野菜や果物や菓子を供え、朝・昼・晩と食事と飲み物を供えます。茄子の牛や胡瓜の馬を飾るのは、祖先の霊の乗り物。おいでになる時には早くいらしていただきたいので胡瓜の馬に乗って。お帰りはゆっくり帰っていただきたいので、茄子の牛に乗ってくださいという意味。茄子や胡瓜の背中には、うどんを2本。それは手綱のつもり。
そして13日の夜には、ご先祖様が迷わずにお帰りになるよう、家々の門口で迎え火を、最終日の16日の夜には門口で送り火を燃やします。神様や仏様を迎える時、火を焚くのは多くの地域でみられます。道を明るく照らして間違いなく我が家とあの世を行き来してくださるようにという意味もありますが、火を清浄なものと考える思想があったからでもあります。神や仏は火に導かれ、火に依りついてこの世に降りて来てくださるのです。

●盆踊りは精霊を慰めるためのもの
 親戚縁者が繰り出して、賑やかに楽しむ盆踊り。しかし、元々は盆に訪れる精霊を慰めるためのものでした。成仏できずに餓鬼道をさまよっている餓鬼仏の供養が主眼なので、しずしずと緩やかな踊りだったようです。長野県東山の東山踊り、富山県八尾の風の盆などゆったりした踊りが原型を残しています。
 盆踊りをする地方もあるでしょうが、浴衣にマスクは似合いませんね。祖先の供養と踊りの楽しみと、コロナ対策を秤にかけてお楽しみください。