神無月の次は神楽月
——出雲に出かけた神様が地元にお帰り—

●11月の異名は?
 「霜月」「霜降り月」「雪見月」「神楽月」などの異名がある11月。霜が降り、雪が舞い、本格的な冬を迎えるこの時期、出雲に出かけていた神様が地元にお帰りになるので、「神楽月」という異名になりました。
大勢の神様が楽しむ月であり、七福神も賑わいを添えます。
七福神は室町時代の中期に成立した7柱の福の神様。戎三郎、大黒天、弁財天女、毘沙門天(多聞天)、寿老人、布袋和尚、福禄寿。福の神への信仰は古くからあり、比叡山の三面大黒天、鞍馬の毘沙門天、竹生島の弁財天女、西宮の戎三郎などは以前から信仰されていましたが、室町時代に寿老人、福禄寿、布袋和尚が加わって目出度い数字の7柱になりました。

●戎三郎…イザナギノミコト、イザナミノミコトの子供であり、蛭子であった三郎は体が弱く、足腰が立たないために芦船に乗せられて流されてしまいました。そして、漂着した西宮で神と祀られます。風折帽子に狩衣、右手に釣り竿、左に鯛を抱え、商売繁盛の神様とされています。●大黒天…古代インドの神様で、仏教に取り入れられて仏法の守護神になりました。狩衣をまとい、頭には頭巾、左肩に袋を背負い、右手に槌をもっています。米俵の上に立つ、富貴、長寿の神様です。●弁財天女…古代インドの神様。琵琶を抱えているように音楽を司ります。七福神では紅一点。商売と芸能の神様です。●毘沙門天…古代インドの神話に出て来る神様。知恵と勇気の守り神。仏教に取り入れられて、善行を積む人々に福を授けます。●寿老人…中国の思想家・老子が天に昇って老人星になったという道教思想の神様。仙人の姿で1500歳の天寿を全うしたという長寿の神。1頭の牡鹿を伴っています。●布袋和尚…七福神の中では唯一の実在の人物。弥勒菩薩の化身といわれ、1本の杖と布袋を背負って市井を歩き、どこでも眠れるという怪人。不老長寿、未病息災の神様。●福禄寿…道教の思想である、福、禄、寿、つまり幸福と富と長寿を擬人化したもの。長い髭をたくわえ、杖の先には経巻を結わえ、いつも白鶴を伴っています。
●神様が勢ぞろいする神楽月
 地元の神様、七福神に囲まれて、冬の訪れをめでたくお過ごしください。