お雛様の並びは?

——京都は男雛が右、女雛が左——

●西と東でお雛様の並びが違うのは?

 暮らしを楽しむデイサービス「かえで」では、玄関に季節の飾りを施します。2月の中旬からは、母の実家からいただいたお雛様を飾ります。きっと、母の初節供に祖母の実家から贈られたお雛様なのでしょう。大正時代のお雛様だと思われます。後ろには、やっぱり母の実家からいただいたジジババも飾りました。同じテーストのお顔なので、同じ時期に贈られたと思われます。“共に白髪が生えるまで”と長寿を願ってお雛様と一緒に贈る習慣があったのでしょうか。同様に、ジジが右、ババが左。

 それを見た職員が「並び方が違う」と言いました。「所長が間違えるはずはないけど、おかしいなと思って」と。

●東のほうが格が高い?

 その昔、東のほうが格が高いと考えられていました。皇太子を東宮と呼ぶのも、東が位が高いという思想から。陽が上るほうが陽が沈むほうより、輝かしいからでしょうね。

 御所は南向きに建てられています。すると、向かって右が東に当たります。そこで、男雛が右、女雛が左というのが習わしでした。皇太子のお住まいを東宮と呼ぶのもその考え方からです。

●なぜ男雛が左になった?

 明治になって、急速に日本も欧米化していきます。欧米では、向かって左に男性が立ちます。右が上位という考え方があり、女性の右側に男性が立つのだそうです。なんでも、キリスト教では神様の救いの手は右側であることに起因しているようです。大正天皇が即位の礼の時に、洋服をお召しになって西欧に倣って女性の右側に立たれたため、お雛様もそのようになったと言われています。

 そこで、関東では向かって左が男雛、女雛が右。とちらも間違いではないのですが、当施設では男雛を向かって右に飾りました。