土用の牛の日
——ウナギを食べるのは—

●ウナギは滋養のある食品
 7月23日は土用。そもそも土用とは季節の終わりの18日くらいを指していました。春夏秋冬の4回ありましたが、現在は立秋の前の土用だけが残っています。
 その土用。季節の変わり目は邪気が忍び込みやすく、特別な物を食べて邪気を祓うという考え方がありました。
 古来、ウナギは滋養強壮に効くとされ、夏バテぎみのこの季節には格好の食べ物だったのでしょう。
 『万葉集』には大伴家持の「石麻呂に吾物申す 夏痩せに吉しと云ふぞ むなぎ取り食せ」という歌が残されています。石麻呂さんという人はずいぶん痩せていたようで、ウナギを食べて元気になりなさいと勧めています。

●土用はなぜウナギ?
 昔、牛の日に「う」のつく食品を食べると夏バテしないという民間伝承がありました。そこで、「うどん」でも「ごぼう」でも、なんでもよかったのです。
 土用の丑の日にウナギを食べる習慣が広がったのは江戸時代から。奇人・平賀源内がウナギ屋から相談を受けた時、「本日丑の日」と書いて店先に貼るように指導しました。すると、ウナギが飛ぶように売れたそうです。それが現代まで伝わっています。
 でも、日本ウナギは絶滅危惧種に指定されている希少品。そして国産ウナギはとても高価。昔のように「う」のつく食品を食べて夏を乗り切るという方法もありますね。
 
●東の背開き、西の腹開き
 武家社会であった江戸では、腹開きは切腹につながって縁起が悪かったからでしょうか、背開きです。また、関東では蒸して余分な脂を落としてからタレをつけて焼きますが、関西では蒸さずに白焼きした後にタレをつけて焼くというのが流儀。
かば焼きと言ったのは、昔は裂かずに丸のまま焼いた姿が蒲の穂に似ていたからでした。
 関西でマムシと言うのは、蛇のマムシではなく、ご飯の間にまぶすという意味だそうです。