寒さはまだまだ続きます
——立春とは名ばかりですが—

●日脚が長くなり春の訪れを感じます
 だいぶ、日が長くなり、春の訪れを感じさせる頃になりました。でも、2月は如月(きさらぎ=更着)といって、“さらに着る”という意味もあるので、まだまだ寒さは続きます。
 例えば、2月3日。立春の東京の日の出は6時40分。日の入りは17時07分。日が出る前にうっすらと明るくなり、日の入りの後も明かりが残ることを考えると、ずいぶん日が長くなったと感じさせます。冬至の頃の日の出は6時47分、日の入りは16時31分。日の出は7分しか違いませんが、日の入りは20分も伸びたのですね。

●春、一番に咲くのは梅の花
 2月は梅の花の見頃の季節。梅林から次々に梅祭り情報が届きます。
 さて、梅といえば菅原道真。右大臣にまで上り詰めた天才ですが、左大臣の藤原時平に失脚させられます(右大臣より左大臣のほうが偉かったのです)。そして、太宰府に流されてしまいました。
 失意のうちに、都を思って一句。「東風(こち=大宰府のある西からみて京都は東)ふかば にほいおこせよ梅の花 主なしとて 春な忘れそ」京都の家にあった梅の花よ、私がいないからといって春を忘れずに、都から吹く春風に乗せて、香りを届けておくれ。という意味でしょうか。
 京都を追われた時、57歳。その2年後に亡くなってしまったということです。

●雷が鳴ると“くわばら、くわばら”
 その後、10余年にわたって京都では疫病が流行ったり、落雷や火災、天変地異が続きました。人々は菅原道真の祟りだと信じ、北野天満宮に祭ることになりました。天才だった道真にあやかろうと、各地の天満宮は、今でも受験生の祈願で賑わいます。
 実在の人物が神様に祭られる例はいくつかありますが、天神様は全国に祭られ、他の神社にもまして膨大な数だといわれています。我が子に賢く育って欲しいという親心が天神様の数を増やしたのかもしれません。
 雷が鳴ると“くわばら、くわばら”と言うのは、かつて道真が住んでいた桑原の地だけは落雷の被害に遭わなかったから、それにあやかりたいという意味だそうです。