ご先祖様をお迎えする盆
——地方によってしきたりが違いますが—

●清浄な火で送迎
 東京では7月に盆を迎えますが、この辺りでは8月に盆を迎えます。
 13日の夜には、先祖の霊が迷わずにお帰りになるようにと、家々の門口で迎え火を燃やします。
 盆の最終日の16日にはまた門前で火を燃やし、精霊の帰る道を明るく照らします。
 神様や仏様を迎える時、火を炊くのは多くの地域で見られます。道を明るく照らして間違いなく我が家とあの世を行き来してくださるようにという意味でもありますが、火を正常なものと考える思想があったからです。

●お墓の灯篭に火を灯す
このあたりの風習は、13日、14日、15日、16日の夜にお墓の灯篭に火を灯します。盆にはお墓に眠るご先祖様が我が家に帰ってくるはずなのに、どうしてお墓に火を灯すのでしょうか。みんな不思議に思っています。
一説によると、ご先祖様が全員、我が家に帰るのではなく、お墓の留守番をしている人がいるからとか。あるいは、ご先祖様が全員留守になってしまうと、悪霊に狙われるので、留守番を雇って守ってもらうのだとか。いずれにしても、先祖代々続いてきた習慣なので、従うべきでしょうね。

●精霊を慰める盆踊り
 コロナ禍で長い間、行われなかった盆踊り。今年は復活した地域も多いのではないでしょうか。
 里帰りした親戚縁者が繰り出してにぎやかに楽しむ盆踊り。しかし、元々は盆に訪れる精霊を慰めるためのものだったそうです。成仏出来ずに餓鬼道をさまよっている餓鬼仏の供養が主眼で、しずしずと緩やかな踊りだったそうです。
 長野県東山の東山踊り、富山県八尾の風の盆、三重県の島の大念仏などはゆったりした踊りで、その原型を残しています。
 今年の盆踊りはいかがでしたか。