お内裏様は男雛と女雛の名称
——童謡が間違っていたのでした—

●♪お内裏様とお雛様
 ひな祭りに歌われる、有名な「うれしいひなまつり」。サトウハチローの作詞ですが、この歌には間違いが2つあると知ってサトウハチローも悩んでいたそうです。
 1つ目は、2番の歌詞。「お内裏様とお雛様」の部分。内裏とは、天皇のお住まいであり、天皇・皇后ともに“お内裏様”と呼ばれます。なので、男雛様と女雛様と言うべきところなのです。
 2つ目は3番。「赤いお顔の右大臣」の部分。右大臣・左大臣は天皇から見て右が右大臣、左が左大臣。私達から見ると左が右大臣、右が左大臣ということになります。私達から見て右側の左大臣はお酒を飲みすぎて顔が赤くなってしまいましたが、右大臣の顔は赤くありません。

●お内裏様の並び方は?
 「暮らしを楽しむデイサービス」と銘打っている当施設では、毎月、季節感のあるリースや置物を利用者様と一緒に作り、ご自宅に持ち帰っていただきます。
 この辺りのひな祭りは、桃の花の咲く時期を見計らってか4月の3日。紙皿に男雛と女雛を張り付け、桃の花を散らして吊るし飾りを作りました。
 男雛が向かって右、女雛が向かって左に貼り付けてありましたが、しっかり貼ってなかったので、落ちてしまったところ、逆に貼ってありました。
 それから、右か左かの論争が始まりました。
 宮殿は南に向かって建てられています。お雛様から見ると、左は東、右は西。太陽の出る東のほうが位が上なので、男雛は向かって右にお座りになります。
 では、なぜ男雛が向かって左になったのでしょうか。
 明治以降、西欧の文化が流入してくると、男性が向かって左に立つ様式が定着しました。今上天皇の即位式にも、天皇が左にお立ちになったとか。
 そこで、どちらが右でも左でもいいことになりました。でも、お雛様は京都の宮殿を模したものですから、伝統的な飾り方をしたいと思いますが、いかがでしょうか?